事業承継の意味と影響

事業承継って何だろう
一言で言えば「跡継ぎ」でしょうか。
「人及び人と不可分の資格など」を継ぐのではなく、「組織」、「財産」、「経営権」などを引き継ぐこと。
例えば「家を継ぐ」、「家業を継ぐ」、「父の会社を継ぐ」、「研究を継ぐ」などと表現し、その内容は「財産権」、「支配権」、「運営権」、「研究成果」などが混然一体となったものです。
サラリーマンの子供がサラリーマンになった時に「事業承継」とは言いません。
この場合の父から子へ引き継いだものは「一般的職業名称」であり、父がサラリーマンでなければ子がサラリーマンになれないということではないからです。
「事業承継」という言葉は、具体的には「オーナー経営中小企業」の場合、企業の「財産権」と「支配権」を「株式」の受け渡しを経由して引き継ぐことを意味します。
したがって、一部上場企業のサラリーマン社長が退職し新社長が誕生した場合には「事業承継」ではなく、経営者の交代と表現します。
「事業承継」問題に注目が集まるのは、「株式」を引き継ぐ際に、「相続税や贈与税」、「譲渡所得税」が発生し、納税ができない場合には承継対象の企業が倒産する可能性があるからです。
そこで、早めに対策を講じて少ない税金にすることにより、「事業」の円滑な引継をする必要があります。
中小企業の後継者はどうなっているか
平成28年12月5日に中小企業庁から10年ぶりに「事業承継ガイドライン」が発表されました。
中小企業数はおおよそ380万社(99.7%)、従業員数は3,361万人(69%)となっています。
ちなみに大企業数はおよそ1万社(0.3%)、従業員数は1,433万人(31%)となっています。
参考に言いますと大企業の内TVコマーシャルでよく見る東証一部上場会社数はおおよそ2,000社、従業員数は300万人となっています。
さらに、平成28年の日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、60歳以上の中小企業経営者の約50%が廃業を予定していると回答しています。
つまり、なんらかの理由で経営交代がうまく出来そうもないということのようです。
中小企業の持つ技術力とその伝承を抜きにして日本経済の明日はないと言われています。
また、中小企業従業員1,680万人(3,361万人×50%)とその家族の生活基盤は事業承継の成否にかかっているといってもいいでしょう。
本日は以上です。